タクシー会社によって異なる!「普通自動車二種免許」合格までのプロセス

タクシー会社に入社して最初の仕事は、普通自動車二種免許試験に合格することです。

自動車教習所に通うのだから「ラクショウだァ~!」なんてお気楽に考えていると痛い目に会います。

自動車教習所での講習は、朝から夜までびっしり!会社によっては「一発試験」を受けなければいけません。

このページでは、「普通自動車二種免許」合格までのプロセスに加えて、個人で免許を取得する方法についてもご紹介します。

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目次

普通自動車二種免許とは

普通自動車二種免許とは、「他人の重要に応じ、有償で普通自動車を使用して、旅客を運送する」時に必要な免許です。具体的には、タクシー・ハイヤーの運転手、自動車運転代行業の仕事をするために必要な免許です。

二種免許には、AT限定の免許と限定なしの免許があり、ほとんどのタクシー会社ではAT限定免許で問題ありません。ただし、限定なしの一種免許を持っている方は、せっかくですから二種についても限定なしの免許を取得した方が、将来何かの役に立つかもしれません。私は限定なしの普通自動車二種免許を取得しました。

普通自動車二種免許合格までのプロセスは、一種免許の追加で二種免許を取得するということではなく、もう一度新しい運転免許を最初から取り直すと考えると、理解しやすいと思います。指定自動車教習所で行う教習も、第一段階、第二段階に分かれていて、実技教習も最初は場内教習、次に路上教習というステップになります。

無事に指定自動車教習所の卒業検定に合格すると、免許試験場で学科の試験を受験します。学科試験の出題範囲も一種免許と二種免許の両方の分野にまたがるので、大昔に習ったことをもう一度最初から勉強し直す必要があります。

それから、多くの人にとって運転の実技教習は簡単で退屈かもしれません。しかし、せっかく車の運転をするのに、漫然と時間を過ごすのはもったいないことです。二種免許の実技教習の最大のテーマは「安全に運転するための技術の習得」です。ここで習う「安全に運転する技術」が、後にタクシードライバーの身を守ることになるので、しっかりと取り組みたいものです。

普通自動車二種免許の受験資格

年齢が21歳以上であること、普通自動車一種免許の取得から3年以上経過している必要があります。

普通自動車二種免許の取得方法

タクシー会社に入社してから普通自動車二種免許をする方は、入社される会社によって次のどちらかの方法になります。入社前の説明会で確認することをおすすめします。

指定自動車教習所の卒業後に学科試験を受ける

指定自動車教習所とは、その自動車教習所を卒業すると、運転免許を取得する際の技能試験が免除される教習所のことです。指定自動車教習所の卒業検定が、技能試験に該当します。

ほとんどの方は、普通自動車一種免許を取得した時に、指定自動車教習所に通ったことでしょう。その時と同じ方法です。平成14年度の道路交通法の改正で、二種免許も指定自動車教習所を卒業すれば、実技試験が免除になりました。

ほとんどのタクシー会社は、東京都内や近県の指定自動車教習所と契約を行っており、タクシー会社に入社したタクシードライバー希望者は、そのタクシー会社が契約をしている指定自動車教習所に通うことになります。また、一部の大手タクシー会社は、自社のグループ内に指定自動車教習所を保有しており、その場合にはグループ内の指定自動車教習所に通うことになります。

指定自動車教習所の卒業後は、ご自分の住民登録を行っている都道府県にある免許試験場で学科試験を行います。

実技試験・学科試験ともに免許試験場で受ける

いわゆる「一発試験」というやつです。一部の大手タクシー会社では、現在でもこの方法で二種免許を取得するようです。

教習所で実技の練習をした上で、ご自分の住民登録を行っている都道府県にある免許試験場で学科試験、実技試験を行います。

教習費用が大幅に安くなるので、コスト意識が厳しい会社は、今でもこの方法なのかもしれません。

普通自動車二種免許の取得費用

ほとんどのタクシー会社では、「免許取得費用は全額会社負担!」を掲げていますが、実はこのことについては要注意です。

確かに指定自動車教習所の費用は会社が払ってくれていますが、その費用は会社がタクシードライバーに融資したことになっているのです。研修中に、会社とタクシードライバーとの間で、二種免許取得費用や地理試験合格の費用に関する「金銭消費貸借証書」を締結する会社もあります。

「金銭証書貸借証書」ではなくても、「覚書」等の書面に署名することが一般的で、そこには短期間(1年~2年以内等でタクシー会社により異なります)で退社したような場合には、二種免許取得費用や地理試験合格の費用を会社に返済することが明記されています。

指定自動車教習所で普通自動車二種免許コースに入学する場合には、平均で約26万円ほどの費用がかかるので、短期間で退社するときには、その金額を会社に返済することになります。

「一発試験」で普通自動車二種免許を取得した場合には、返済する金額もかなり少なくなります。

教習中の日当・交通費の支給

普通自動車二種免許を取得するのも「仕事」ですから、ほとんどの会社で1万円前後(金額は会社によって異なる)の日当と、会社によっては教習所までの交通費を払ってくれます。

個人で申し込みを行い普通自動車二種免許に合格する

「短期間で会社を辞めた時にタクシー会社にお金を返すのは嫌だ」または「辞めるつもりは無いがタクシー会社に借りを作るのは嫌だ」という方もいるでしょう。

そのような場合には、タクシー会社に入社する前に普通自動車二種免許を取得することも可能です。ただし、当然のことですが、タクシー会社はその費用を払ってくれたり、お金を貸してくれたりすることはありません。

あくまでも、個人として免許を取得することになります。個人で二種免許を取得する場合には、次の方法があります。

個人で指定自動車教習所に通う

個人で指定自動車教習所に通うのであれば、自宅から通学しやすい教習所を選べばよいでしょう。

ただし、指定自動車教習所のホームページを見て頂くとわかるのですが、普通自動車二種免許のコースがある教習所は意外と少ないようです。

住所とは別の都道府県にある指定自動車教習所を卒業した場合でも、実地試験は免除になるので、東京に住んでいる人でも、自動車で通学するような場合には、神奈川県・千葉県・埼玉県などにある指定自動車教習所に通う方が、便利なことがあるようです。

個人で一発試験を受ける

個人で一発試験を受ける場合には、自分で練習をするか、自動車教習所で習ってからチャレンジすることになります。

個人的には、一発試験を受ける場合でも、自動車教習所で十分に練習をしてから挑戦した方が良いと思っています。その理由は、自動車教習所に行けば、安全に運転する方法を習うことができるからです。

タクシードライバーをはじめとする職業ドライバーに求められるスキルとは、カーレーサーのように速く走るテクニックではなくて、違反や事故を起こさないように安全・確実にお客様や荷物を運ぶ事ができるスキルです。私も、実際にタクシードライバーとして仕事をするようになって、安全運転の重要性を身にしみて感じています。

しつこいようですが、ぜひこの機会に安全な運転方法を再確認することをおすすめします。

大型二種免許を取得するという選択肢もある

まだ年齢が若くて、時間もお金もたっぷりあるという人限定ですが、どうせ個人で二種免許を取得するのであれば、大型自動車二種免許にチャレンジするという選択肢もあります。大型自動車二種免許を取得すれば、タクシー・ハイヤーはもちろんのこと、大型・中型のバスやトラックも運転できるので、将来に向けて職業選択の幅が広がります。

実技の教習は、路線バスに使われているタイプのバスで行われます。ただし、取得するまでに時間がかかるのと、費用も最低で45万円から50万円位は必要になります。大型二種のコースがある指定自動車教習所も限られているようです。

現在大型一種免許を持っている人は、普通免許しか持っていない人よりも少ない費用で大型二種免許を取得できるので、検討する価値があるかもしれません。

一部の指定自動車教習所での講座は「職業訓練給付」の対象になる

あまり知られていないのですが、普通自動車二種免許は、雇用保険の「職業訓練給付金」の支給対象の講座になっています。

支給対象者は「離職してから1年以内でかつ離職前に雇用保険の被保険者として3年以上雇用されていた人」の他に、在職中の人でも、雇用保険の被保険者として3年以上雇用されている人であれば支給の対象者となります。支給金額は、対象受講料の20%に相当する額(但し10万円限度)です。

タクシー会社に入社する前に、個人で普通自動車二種免許を取得する人は検討してみてはいかがでしょうか。ただし、全ての指定自動車教習所が対象となるわけではありませので、支給対象となる指定自動車教習所に通う必要があります。

制度についてはハローワークインターネットサービス厚生労働省のサイトで確認できます。

普通自動車二種免許取得までの道のり

ここからは、私が普通自動車二種免許を取得した時の様子についてお話します。

教習所のカリキュラム

私は、指定自動車教習所に通って、卒業後に自宅がある都道府県の運転免許試験場で学科試験に合格しました。

指定自動車教習所での教習は、第一段階:学科7時間・実技(場内教習)8時間、第二段階:学科12時間・実技(路上教習)13時間を行い、最後に卒業検定があります。

教習所に行くと、まず最初に行うのは「深視力の検査」です。入社の時に合格している人は問題ないでしょう。本番の免許試験場でも行われるます。教習所では予め設定している教習所の時間割を睨みながら、個人ごとに、最短の期間でで卒業検定まで終わらせるカリキュラムを作成してくれます。さらに全ての講習に予約を入れてくれます。

カリキュラムは入学する日によって異なってきます。私の場合は14日間で卒業検定まで終わるカリキュラムでした。この教習所では、最短であれば10日から12日ほどで卒業ができるようですが、朝9時から夜8時までぎっしりとスケジュールが組まれるので、少し余裕があったほうが身体は楽です。

学科の教習

実は、学科の教習はあまり記憶に残っていません。ただ、次の教習まで時間が空いているときには、学科試験のためにテキストを読み込んだり、試験対策の問題を解いたりしていました。

卒業したらすぐに免許試験場で学科試験を受ける事になるので、あまり試験勉強をする時間はありません。そのため、教習所には学科試験対策として自習用のPCが置いてあるのですが、このPCがかなり役に立ちました。

特にPCにある練習問題や模擬試験には、実際に学科試験に出題される「ひっかけ問題」が大量に組み込まれていたので、この時に正解できなかった問題を正解できるまで何度も繰り返すことで、実際の試験でも自信をもって回答することができました。

実技の教習

教習所には、生徒がストレスを感じない穏やかな教官が多かったのですが、運転中はびしびしといろいろな指摘を受けました。

まず最初に言われたのは「ハンドルの持ち方とハンドルの回し方」です。つい普段の「くせ」で変な持ち方をしてしまうのですが、その都度「変な持ち方はしないッ!」と厳しく言われました。

次に「とにかく安全運転」です。例えば、前方に人や自転車がいて「減速するべき」時でも「ハンドル操作で左右によける」ことしようとすると、すかさず助手席に座っている教官はブレーキを踏んで厳しく注意を行います。私の場合は「危険が予測される時には減速をするように」と何度も指摘されました。

「鋭角コースの通過」「方向変換」「縦列駐車」なども行うのですが、何度も繰り返し練習するので、誰でも問題なくこなせるようになると思います。なので、実技教習ではとにかく「安全確認!」「基本に忠実に!」です。

卒業検定

卒業検定は、講習で使用していた車、講習で走った道路で行われるので、問題なくクリアできると思います。

後部座席に他の受講生が1名座りますが、余計なことを考えずに、淡々と基本動作を繰り返して行けば大丈夫でしょう。

学科の試験

運転免許の試験場は人が多くて圧倒されます。しかもどこで手続きをすれば良いのかがわかり難いので、心配な方は早めに行って手続き方法等を確認したほうがいいかもしれません。

まず、最初に視力・深視力・色覚などの適性検査です。深視力の検査はこれまで何度も行ってきたので、大丈夫でしょう。

本番の試験は90点以上で合格です。意地悪な問題も多いのですが、10点分は間違っても大丈夫!と、リラックスして取り組みましょう。練習問題をたくさん解いてきた人は、練習問題と似ている問題が多いことに気が付くかもしれません。

私は無事に1回で合格できましたが、少し話をした隣の席の人は3回目だと言っていました。

お昼過ぎには免許証が交付されます。2週間以上に渡った普通自動車二種免許の取得も、これで完了!

明日からは、次の研修が待っています。

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