タクシー会社は中高年サラリーマンの転職先になるか?




サラリーマンをしていた中高年の方が、タクシードライバーに転職するというケースが増えています。

長引く景気低迷で中高年サラリーマンのリストラが加速するなか、タクシー業界だけは常に求人情報が溢れていているのですから、中高年サラリーマンの方がタクシードライバーに転職しようと考えるのは不思議な事ではありません。

一方で、中高年サラリーマンから転職してきた方が、厳しい現実に直面して思い悩んだり、いろいろな理由で仕事を続けることが出来なくなるケースも増えています。これは、タクシードライバーという世界が、それまで長年仕事をしてきたサラリーマン社会と大きく異なることと、ご自分の生活が大きく変化することが原因だと思います。

そこで、中高年サラリーマンの方がタクシードライバーに転職する前に知っておきたい重要な事を、3点だけご紹介します。

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年収が400万円前後に減り生活の質が大きく変わる

中高年サラリーマンがタクシードライバーに転職すると、年収が大幅に減少します。

2013年の東京都全業種男性労働者の平均年収は643万円なのに対して、東京都のタクシードライバーの平均年収は403万円しかありません。ちなみに私の直近の年収も約400万円です。

しかも、東京都のタクシードライバーの平均年収は、バブル最盛期である1992年の507万円をピークに大きく減少しており、今後上昇するような要因は全くありません。営業努力で1日の平均売り上げを6万5千円にまで増やせば給料は約43万円、年収も約500万円になりますが、今の経済状況ではかなり頑張らないと出来ない数字です。

タクシードライバーへの転職を考えている中高年サラリーマンの年収は、平均すると800万円から1000万円前後だと思います。その年収が半分以下になります。

私もそうだったのですが、中高年になって年収が半分以下になると、生活の質が大きく変わります。旅行や外食はもちろん、外でお酒を飲むことも出来ません。
毎日の食事の内容も変わってきますし、洋服など買ったこともありません。極端な話しをすると家と会社の往復だけの生活になります。

転職後に年収が大幅に下がって、このような生活の質の変化を受け入れることが出来るかどうか、本気で考えなければなりません。

家族の理解を得られるか

中高年サラリーマンの方がタクシードライバーに転職をすると、生活のパターンが大きく変わります。

多くのタクシードライバーは、早朝に家を出て翌朝帰宅をするという生活を送っています。さらに、仕事をする日はカレンダーとは関係なくやってくるので、土日や祝日は関係が無くなり、お正月休みや夏休みもありません。

1ヶ月に12出番か13出番の仕事をしますが、11出番(22日に相当)が普通の出勤扱いで、それに追加される1出番(2日に相当)・2出番(4日に相当)は、一般企業で言う休日出勤になります。ただし休日出勤も勤務シフトに組み入れられているので、休むことはできません。会社にお願いすれば休みは貰えますが、有給休暇は有名無実でタクシーに乗務しないと給料が出ない仕組みなので、休んだ分だけ給料が減ります。

ご家族と一緒に生活をしている中高年サラリーマンの方は、このような生活パターンになることを説明してご理解頂く必要があると思います。夫が家事を分担しているご家庭も多いようなので、その調整もしなければなりません。また、場合によっては夫の給料だけでは生活が出来ないので、奥さんにも仕事をしてもらう必要があるかもしれません。こうなると家族の理解というよりは協力をしてもらうことになります。

それから、これは少し寂しい話しなのですが、ご家族の方が「タクシーの仕事だけはやらないで欲しい」と言う場合もあるようです。もしもそうであれば、どんな仕事ならば良いのかを話し合わなければいけません。

お客様に何を言われても我慢できるか

現在、サービス業・外食産業・小売業にお勤めの方であれば、若いお客様や女性のお客様から厳しいご指摘やお叱りを受けてもあまり驚かないとは思います。

ただし、それ以外の業種から転職してくる中高年サラリーマンの方は、時々タクシーのお客様が暴言を吐かれたり、運転手を見下した態度を取るので、最初はびっくりするかもしれません。また、降りる時にいろいろと難癖をつけて、料金を踏み倒そうとするお客様もいます。

お客様が暴言を吐かれるのは、タクシーの中が密室でお客様が周りに遠慮する必要が無いこと、明らかにお客様が運転手よりも優位な立場にあることが理由だと思います。このような場合には、会社の幹部や先輩から「何を言われても反論してはいけない」と教えられるのですが、思わず言い返してしまい、会社や東京タクシーセンターにクレームが入ることがあるようです。

私もクレーマーやモンスター的なお客様が続くと、「自分はなんでこんな仕事をしているのだろう」という気持ちになり、正直に言って自分の立場の弱さに情けなくなることもありました。ただし、転職してから半年・1年と経験を積んで、自信を持ってお客様をお乗せするようになると、お客様対応で嫌な思いをする事が劇的に減少します。そして仕事に慣れてきてからは、「またこういうお客様が乗ってきたな」と第三者的に自分に言い聞かせて、決してお客様と同じ土俵に上がらないようにしています。

この事は、自ら成長することでしか解決が出来ないので、サラリーマンから転職してきた中高年の方も、それまでの間はじっと我慢することが必要になってきます。

最後に必要なのはこの仕事を一生続ける覚悟

私も20年以上勤めたサラリーマンの仕事を辞めてタクシードライバーに転職しました。

その後、会社の職員の方々、先輩・同僚、そしてたくさんのお客様に助けられてなんとか頑張ってこれたのですが、「自分には、もうタクシー運転手の仕事しかないのだ」と覚悟をしてこの業界に飛び込んだ事も、仕事を続けられた理由かもしれません。昔から、タクシードライバーには様々な経歴の人がいると言われていますが、この人達に共通していることは、もう自分にはタクシー運転手の仕事しか無いのだという気持ちでこの世界に入っている事だと思います。

実はタクシードライバーという仕事には、サラリーマンの世界にはない魅力もあり、この仕事が本当に好きでプライドを持って仕事に取り組んでいる運転手もたくさんいます。しかし世の中におけるタクシードライバーに対する評価は低く、ご自分の経歴に「タクシー運転手」という職業が記載された途端に、もう人生に後がなくなるということも事実なのです。

ですから、特にこれまでサラリーマンをしてきた中高年の方々には、タクシードライバーへの転職は慎重に考えてもらいたいと思います。もしも他の選択肢があるならば、その仕事を優先させるべきでしょう。

ただし、どうしてもタクシー会社に転職するしかないのであれば、先にお話した3つのことを受け入れられるかどうか考えてみて下さい。そして「一生続けられるかどうか」についても。

そして、その覚悟ができるのであれば、他に何も心配はいりません。後は行動あるのみ!

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