タクシー会社の求人情報が多い理由

タクシー会社の求人情報が多い理由は、

退職するドライバーが多いことです。

仕事を辞めるドライバーが多いので、新聞の求人広告欄や転職情報誌には、1年中タクシードライバーの求人情報が溢れています。しかも東京のタクシー会社の求人情報は、新聞の地方版や地方紙にまで掲載されています。

昔から1年中求人を行っているのはタクシー会社と保険の外交員位だと言われてきましたが、今でもその状況は変わっていないようです。

ではどうしてそんなにタクシー会社では辞める人が多いのでしょうか?最近の言葉で言うと、タクシー会社は「ブラック企業」なのでしょうか?

結論から言うと、真面目にこの仕事に取り組もうと思っている人にとっては、退職する人が多いことはあまり気にする必要が無いのです。それから、タクシー会社は「ブラック企業」だとは思えません。

私はタクシー会社を辞める人のパターンは、これからお話しする2つだと思っています。1つ目は入社して1年以内に辞めてしまう人、2つ目は長年タクシーの仕事を続けてきた60歳以上のベテラン乗務員です。このページではそのことについてお話をしたいと思います。

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目次

タクシー会社の求人に応募して1年以内に辞める人達

3ヶ月と6ヶ月で辞める理由とは・・・

タクシー会社の求人情報1年中掲載されています。

そして、そこには30万円の給与保障!!42万円の以上の月給も可能!!免許取得費用全額会社負担!!といった魅力的なコピーが並んでいるので、誰でもすぐにタクシー運転手として採用されて、仕事を始めれば簡単に稼げると勘違いをしてもおかしくはありません。

この求人情報に誘われるように、私がいる会社でも毎月数人の新人のタクシードライバーが入社してきます。

これらの新人ドライバーの中で、まず乗務が始まって3ヶ月が過ぎる頃に突然辞める人が出てきます。

もしかすると、この人達はたぶん30万円の保障給が欲しくてタクシー会社に入社したのでしょうか。私が本社で新人の研修を受けていた時にも「30万円の保障期間が終わったら辞めるつもりだ」という人がいたので、「そんなのありなのか?」とびっくりしたことがあります。

続いて6ヶ月を過ぎると、思ったほど稼げない、予想したよりも体がきつい、お客様と言い合いをしてトラブルになった、事故・違反で乗務できなくなったなどの理由で、半分以上の人が辞めてしまいます。

せっかくいろいろな経験を積み上げてきて、もう少しだけ頑張ればこれから楽になるのにと思うのですが、みんな案外あっさりと辞めてしまいます。もしかすると、別の仕事が決まるまでの腰掛のつもりだったのかもしれません。

ここさえ乗り切れば楽になるのに・・・

実は、乗務を始めて最初の3ヶ月から6ヶ月の間は、道や建物も全くわからず、お客様からは叱られ、毎回ボロボロになって営業所に帰ってくる一番きつい時期です。

しかしこの時期が正念場で、6ヶ月を過ぎる頃には、少しずつ道を覚えて仕事も楽にこなせるようになります。

また真面目にコツコツと試行錯誤を繰り返していくと、6ヶ月から1年を過ぎる頃には自力で30万円の給与を稼げるようになります。

そして、入社して1年を過ぎた人達はもうほとんど辞めませんし、中には自分の能力に目覚めて、入社して6ヶ月位から営業所のトップクラスの売り上げを叩き出す新人ドライバーも出てきます。

それ位の売り上げができると、給料も40万円を超えて年収500万円も見えてくるのですが、そういう人がもっと歩合のいい会社に転職するという前向きの理由で退職することは、時々あります。

タクシーの仕事を辞めていくベテランの人達

タクシードライバーの世界は超高齢化社会

個人タクシーの運転手さんは70歳以上のベテランの人も多いことが知られています。

法人タクシーも多くの会社で65~70歳ぐらいまでは契約社員として勤務できるようになったので、私の営業所でも65歳以上のドライバーが何人もいます。

「東京ハイヤー・タクシー協会」の資料によると、2013年度の法人タクシー乗務員の平均年齢は58.2歳です。15年前の1998年度の平均年齢はは51.1歳、35年前の1978年度の平均年齢は39.2歳でしたので、急速に高齢化が進んだことがわかります。

一方でタクシー乗務員の平均年収は毎年下がり続けています。バブルのピークだった1993年の東京都タクシー乗務員の平均年収は570万円でしたが、2013年度の平均年収は403万円と大きく下落していて、今後も年収が上昇するような要因は見当たりません。

この「稼げなくなっている」ことが、ベテラン乗務員が辞めていく大きな理由の1つです。

タクシードライバーは拘束時間が長いので、年齢を重ねた肉体には厳しい職業です。そこそこ稼げていれば頑張れるのですが、稼げないときには疲れがどっと出ます。

まして年金が貰えるようになれば、この仕事を続ける理由が無くなります。

「やってられねぇ」という人も・・・

それにここ何年かで、タクシー会社による乗務員への締め付けが厳しくなりました。

きっかけは2009年に東京4社の一角である「国際自動車」において、道路運送法上の行政処分の時に付与される累積違反点数が「一般乗用旅客事業許可」の取消基準に達して、本社管轄の浅草営業所と大森営業所、それとハイヤーの900台ほどの事業許可が取り消しされたことです。(Wikipediaより転載)

他のタクシー会社も道路運送法上の行政処分が続くと「国際自動車」の二の舞になるため、「法令順守」の旗の下に「労働時間」や「乗務距離」の他、「違法駐車」「速度制限違反」等、警視庁から国土交通省関東運輸局に通報が行くと監査の引き金になる「道路交通法違反」をしたタクシードライバーに厳しく対処するようになりました。

具体的には、「タクシーの乗務停止」の他「内勤教育」と言って会議室に篭って反省文を何枚も書かされたり・・・。

その結果、これまで比較的自由に営業を行っていたベテラン乗務員の不満が高まり、「もう、やってられねぇ」という理由で退職をする事も多くなっています。

続けることが大切!その先に成功がある!!

最初にお話ししたとおり、タクシー会社が「ブラック企業」かと聞かれると、何となく違うような気がします。

確かに労働時間は長く、給料はとんでもなく安いですが、社内はのんびりしています。以前はあったようですが、最近ではパワハラの話も聞きません。

ただし給料が歩合給なので、それなりの金額を貰うためには、真面目に仕事に取り組んで試行錯誤を繰り返し、自分の営業スタイルを作り上げないといけません。全て自己責任で厳しい自己管理も必要です。

また乗務を始めた当初は、道や建物がわからないでしょうから、顧客対応でいやな思いをするかもしれません。

しかし、これも長くて入社して最初の1年間だけで、経験を積んで自信を持ってお客様を迎えられるようになると、トラブルは全く無くなります。

そして、道や建物を覚えれば覚えるほど、驚くほどに仕事が楽しくなります。全て自分が成長すれば解決出来る事なのです。

このページを読んでいる皆さんは、タクシー会社についての予備知識は得ていると思います。そして入社後に待ち受けていることを理解して、ぜひ「もう自分はこの仕事で生きていくしかない」という位の覚悟で入社して下さい。

それ位の気持ちでいれば何とか頑張れます。そのためにも転職先の仕事を良く理解して下さい。

成功を祈っています!!

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