皆さんはタクシー会社に応募すれば必ず採用されると思っていませんか?
実は私はそう思っていました。
その理由は、タクシー会社が1年中求人広告を出しており、誰でも採用するような感じがしていたから。
ところが、実際にはそんなことはありません。当然応募者によっては採用されないことだってあるのです。
私が自分の思い違いに気づいたのは、ある会社の採用試験を受けた時です。
面接の日にいきなり健康診断や適性検査を受けただけでなく、実際に車を運転して運転技能までチェックされました。
車を運転する仕事なので、当然と言えば当選のことです。もちろん、タクシードライバーにとっては学歴や職歴はなんの意味もありません。もっと別の部分がチェックされるのです。
そこで、このページでは、私が経験したタクシー会社の採用試験の内容をご紹介します。初めてタクシー会社の求人に応募される方は、事前にどんな内容なのかを確認しておくと、安心して採用試験に臨めると思います。
なお、私は一般企業の中途採用試験と同じ考え方で、一度に複数の会社に応募してしまいました。
そして複数の会社から内定の連絡を頂いたため、ある会社に内定辞退の電話をしたところ、そんな不誠実なことがあるかと怒られて、電話を一方的に切られてしまいました。
確かに、一度に複数のタクシー会社に応募することは何の意味もありません。皆さんは希望する会社から1社ずつ応募して、もしもその会社が不採用の時には別の会社に応募するという方法で十分かと思います。
目次
タクシー会社の採用試験の内容
ここでは、まず最初に私が実際に経験した採用までの流れ3つご紹介します。タクシー会社によって、採用試験の内容や流れがだいぶ違うことが分かると思います。
なお、私はタクシー会社の求人情報をインターネットで確認して、そこに記載されている方法で会社に連絡をしました。
新聞の求人欄で求人情報を見た場合や、ハローワークで紹介を受けた場合などは、採用までの流れが違ってくるかもしれません。
今回はあくまでも参考事例としてご紹介しますので、その旨ご了承下さい。
事例① A社
営業所で実施されている採用説明会に参加。(参加者は5名程度)
↓
後日、入社の意向があることを伝えて面接を予約。
↓
履歴書・職務経歴書を持参して営業所で約30分の面接。その場でエントリーシートの記入、簡単な筆記テスト、適性診断を実施。また、 健康状態についてのヒアリングを受ける。
↓
面設日の午後に会社の診療所に行き、健康診断を受診。
↓
後日、電話で採用可否の連絡。
事例② B社
説明会に参加したいと連絡をしたところ、説明会は個別に行うので本社に来るように指示あり。
↓
本社で人事担当者1名、当方1名で会社の説明を受ける。
↓
後日、入社の意向を伝えて面接を予約。
↓
履歴書・職務経歴書を持参して採用面接。その場でエントリーシートの記入、書面での適性診断、深視力の測定。
↓
面接後すぐに診療所で健康診断を受診。
↓
後日、電話で採用可否の連絡。
事例③ C社
採用センターでの説明会に参加。 参加者6名程度。その場で面接の予約。
↓
後日、採用センターで約30分面接。その場でエントリーシートの記入、書面での適性診断、簡単な筆記テスト、視力検査、深視力の検査、運転シミュレーターでの適性診断を実施。
↓
面接日の午後、会社の診療所で健康診断を受診。
↓
同日、さらに研修所に出向いて、研修用の車を運転して運転技能のチェックを受ける。
↓
後日、電話で採用可否の連絡。
タクシー会社に特徴的な採用試験の内容
上記の実例を見てわかる通り、会社によって採用試験の内容が異なり、濃淡もあります。
ただし、その中にもタクシー会社に特徴的な試験内容や質問事項がありますので、何点かご紹介します。
刺青、薬物の使用について聞かれた
応募した3社とも「刺青をしていないか?」「違法薬物を使用していないか?」という質問をされました。
この質問を受けた時には、正直に言って「あぁ、これがタクシーの世界なんだなぁ」と少し暗い気持ちになってしまいました。また、後で触れますが、実際に確認も行われます。
ただし、このような質問をするという事は、その会社には刺青のタクシードライバいないという事でしょう。前向きに考えれば良いのだと思います。
面談後すぐに健康診断を受診した
一般企業の新卒採用や中途採用の場合には、最終的な健康チェックのために、採用内定者だけが健康診断を受診することになります。
ところが、タクシー会社の場合には、面談を受けた人はほぼ全員、面談と同じ日に健康診断を受診します。
これは、タクシー会社は面談だけで採用の可否は判断しないこと、応募者の健康状態を重視していることが理由だと思います。タクシーの乗務は長時間に及びますし、乗務中に心疾患や脳血管疾患の発作が起きたら、重大事故につながります。その他にも、睡眠時無呼吸症状群のリスクがないかどうか、腰痛がないかどうかなどもチェックされるようです。
健康面以外では、受診時には上半身裸になり、両手の指もしっかり見せるように言われるので、ここで刺青の有無などがチェックされるのでしょう。
さらに、c社では、違法薬物検査に関する同意書も提出したので、違法薬物使用の有無についても検査されているはずです。
同業者としては恥ずかしい話なのですが、時々タクシードライバーが違法薬物使用で逮捕されています。また最近では、蛇行運転をしているタクシードライバーを職務質問したら、危険ドラッグを使用していてその場で逮捕されるという事件も起きています。今後、現役のドライバーにも薬物使用有無の検査が行われるようなので、応募者にも検査を行う会社が増えるかもしれません。
なお、これは研修時の教官に聞いた話なのですが、実は健康診断の結果、健康面が理由で不採用になる人はかなり多いのだそうです。
運転免許証の提示と違反・事故の履歴を聞かれた
運転免許証の保有は当然の事なのですが、ここで重視されるのは、違反・事故の履歴です。
実は、タクシードライバーで交通違反の取締りを受けたり、交通事故を起こすことはとても多いのです。しかも、違反や事故は同じドライバーが繰り返し起こします。
タクシードライバーは1日に21時間も勤務するので、違反や事故のリスクは、自家用車や営業車の何倍も高くなります。過去に免許停止処分を受けていたり何度も事故を起こしている人は、その時の状況を聞かれるかもしれません。
違反・事故履歴は、当初は自己申告ですが、入社が決まると自動車安全運転センターで発行する「運転記録証明書」の提出を求められるので、正直に話すことが必要です。
C社では運転技能のチェックも行われた
C社では実際に車を運転して、運転技能のチェックも行われました。研修所の教官が助手席に同乗して、一般道を15分程度運転したのです。
この会社では、応募者全員に対して、ドライブシミュレーターでの適性診断も行っています。交通事故は同じドライバーが繰り返して起こす傾向があるので、応募者が事故や違反を起こす可能性がないかどうかの見極めをしているのでしょう。
今になって思うのですが、タクシー会社は自動車を運転するドライバーを採用するのですから、C社は当然のことをしていたのですね。
採用内定の連絡
採用内定の連絡は、後日電話で行われます。
もしも不採用になっても、その理由は教えてくれませんが、気持ちを落ち着けて、今後どうしたら良いのかを考えてみましょう。
採用内定の連絡を受けた場合には、その後の指示かあるはずです。
一般的には、再度会社を訪問して、必要書類の案内、制服サイズの採寸、入社日の決定、入社後の説明などが行われます。
まとめ
なんとなくタクシー会社の採用試験の様子がお分かりになったでしょうか。
面接に関しては、落ち着いて面接官の質問に答えられれば問題はないかと思います。
違反や事故の履歴については正直に答えることが大切です。
また、どの会社でも面接日に健康診断も行われたので、体調を整えて採用試験当日を迎えるようにしましょう。