世の中ではタクシードライバーの給料は安いと言われています。
ところが、タクシードライバーの給料は完全に歩合給なので、年収で見ると300万円の人もいれば600万円の人もいるのです。
年収が300万円であれば、世の中的には
「安い!」
と思う人が多いでしょう。
ところが、年収が600万円となると、
「えっ!そんなにもらえるの?」
と思いませんか?
ちなみに、平成28年の「東京都全産業男性労働者」の平均年収は677万円です。
この数字と比べてみると、年収600万円は決して多い収入ではないのですが、普通のサラリーマンと比べても遜色のない金額だと思います。
しかも、20代や30代前半の人であれば、遜色がないどころか、かなりいい金額です。
しかし、タクシードライバーという仕事で年収600万円を稼ぐということは、実はとても大変なことでもあるのです。
そこで、このページでは、タクシードライバーの給料・年収についてお話しします。
これからタクシードライバーの仕事をしたいと思っている人にとっては、給料のことがいちばん重要な問題なので、このページではできるだけ現実的なお話しをしたいと思います。
目次
東京都タクシードライバーの平均年収
東京ハイヤータクシー協会が発表している平成28年の東京都タクシードライバーの
平均年収は443万円ででした。
上の図を見ていただくとわかるのですが、平成26年は392万円、平成27年は393万円と400万円に届かなかったのですが、平成28年には443万円と前年から50万円も上昇しています。
443万円を単純に12で割ると36万9千円で、この金額が毎月の平均月収になります。(賞与分も含みます。)
ただし、上の図にもあるように、東京都の全産業男性労働者の平均である677万円と比べると234万円も低い水準にあります。
私は自分ではかなり頑張っているつもりなのですが、年収は毎年約400万円前後です。
私の場合には、サラリーマン時代の年収の半分以下です。
歩合制なのだから「もっと頑張れ」と思うかもしれませんが、後で具体的にお話ししますがタクシードライバーで600万円以上の年収を稼ごうとすると1出番の平均売り上げで7万円以上が必要になるのです。
1出番当たりの売り上げが7万円という数字は、各タクシー会社の上位数パーセントの人しか達成できない売り上げです。
ちなみに、東京のタクシードライバーの1出番当たりの平均売り上げは、4万9千円です。
売り上げがトップクラスのタクシードライバーでも、年収は600万円台なのです。
年収が700万円を超える人は、ごくわずかしかいません。
このことを考えると、タクシードライバーの給料は他の産業と比べるとかなり低い水中に抑えられているのだと思います。
タクシードライバーの給料・賞与の計算方法
タクシー会社の給料算出方法
タクシードライバーの給料は、ほとんどの会社が完全歩合制です。
東京のタクシー会社では、月間の売上げの約60%がタクシードライバーの給料として支払われています。
※給与規定や算出方法は会社によって大きく異なります。
例えば、1出番平均の売上げが5万円(消費税分は除きます)のタクシードライバーが月に12出番の仕事をすると、月間の売上げは「5万円×12出番=60万円」になります。
この月間売上げの約60%、つまり「60万円×60%=36万円」が1ヶ月の給料の金額になります。
そして、年収は「36万円×12ヶ月=432万円」となります。
タクシー会社の賞与算出方法
タクシードライバーに賞与が支払われる会社もあります。
私が勤務している会社でも賞与が支払われています。
しかし、その賞与の内容は一般の会社の賞与とは大きく異なっています。
何が違うのかというと、タクシードライバーに支払われる賞与というのは、本来であれば毎月支払われる給料の一部が会社に積み立てられて後払いされるだけなのです。
会社の業績が良かったので毎月の給料の他に賞与が支給されるというわけではありません。
会社の資金繰りのために後払いにしている金額を「賞与」と呼んでいるだけなのです。
先ほど売り上げの約60%が給料として支払われると言いましたが、賞与がある会社の場合には売り上げの約60%が毎月の給料と賞与に分けて支払われることになります。
例えば、1日平均売上げが5万円で、歩合率の60%のうち、55%分を月の給料として支払い、5%分を賞与として支払うとします。
その場合、月間の売上げは「5万円×12=60万円」。
毎月のの給料は売上げの55%なので「60万円×55%=33万円」。
賞与分として会社に積み立てられる金額は「60万円×5%=3万円」となります。
賞与の支払い月は会社によって違うのですが、多いのは次のようなケースです。
- 7月支払い:3月・4月・5月・6月の4ヶ月分=12万円
- 12月支払い:7月・8月・9月・10月・11月の5ヶ月分=15万円
- 3月支払い:12月・1月・2月の3ヶ月分=9万円
このように、賞与の年間合計額36万円が、7月に12万円、12月に15万円、3月9万円と、年3回に分けて支払われます。
タクシードライバーはいくら位まで稼げるのか
タクシードライバーの拘束時間と走行距離
タクシードライバーの給料は歩合制なので
「頑張れば頑張るほど給料が多くなる!」
というのは間違いではないのですが、
実は青天井で給料がもらえるわけではありません。
その理由は、タクシードライバーには仕事を行う時に、いろいろと守らなければいけない規制があるからです。
その中で、売上げに大きく影響するのは、「拘束時間」と「走行距離」です。
※「拘束時間」とはタクシードライバーにだけ存在する概念です。始業時刻から終業時刻までの時間で、労働時間と休憩時間(仮眠も含む)の合計時間のことを言います。
隔日勤務のドライバーの「拘束時間」は、厚生労働省からの指導で、1ヶ月262時間までと決められています。※ただし労使協定で1年のうち6ヶ月間だけは270時間まで延長できます。
262時間をを12日で割ると1回の出番の拘束時間は最長で21時間です。
つまり、朝7時から仕事を始めるタクシードライバーは、翌朝4時までが最大の勤務時間になります。
次に「走行距離」ですが、これは行政から1出番あたり365kmまでと制限を付けられています。(高速道路の走行距離は除かれます)
つまり、1ヶ月12出番(月によっては13出番の時もあります)、1出番あたり21時間、走行距離365kmの範囲でしか仕事が出来ないのです。
タクシードライバーの1日の売上げ
平成28年における東京のタクシードライバーの1出番あたりの平均売上げは約4万9千円です。
日々の売上げは、その日が何月なのか、何曜日か、天候はどうか、月の初めか終わりかなどで大きく違ってくるのでなんとも言えないのですが、およそ3万円から8万円の中に納まります。
日々の売上げだけ見れば、8万円できる人は全体の1%から2%、7万円出来る人は全体の5%前後ではないでしょうか。
私も年に1~2回は1日に8万円できる日があります。
最近は、コンスタントに1日に9万円・10万円を売り上げる人はほとんどいません。
たまに奇跡的に9万円・10万円を売り上げる人が出る位です。
これが1出番の平均売り上げとなると、営業所でトップの人でも7万円台です。
私の会社では1出番平均で8万円出来る人はほとんどいません。
私は1出番平均5万円しかできませんが、順位でいくと上から50%前後のところにいます。平凡な私でも5万円なら何とかコンスタントにできる手ごたえがあります。
入社1年目の人でも1出番平均で6万円を超える人が何人もいます。
ですから、頑張れば1出番平均で6万円、さらに頑張れば、1出番平均6万5千円は十分に狙える金額です。
タクシードライバーの現実的な給料と年収
例えば、給料の歩合が55%、賞与が5%の会社があるとしたら
1出番平均売上げが5万円の場合:1ヶ月の給料33万円 年間賞与36万円 年収432万円
1出番平均売上げが6万円の場合:1ヶ月の給料39.6万円 年間賞与43.2万円 年収518万円
1出番平均売上げが7万円の場合:1ヶ月の給料46.2万円 年間賞与40.4万円 年収604万円
このあたりまでの数字が、現実的な収入のような気がします。
ダクシードライバーで年収1,000万円は、夢ではなくて不可能な収入です。
これからタクシードライバーになる人の目標金額
これからタクシーの仕事を始める人も、最初はかなり苦労をしますが、1年後には1出番平均で4万5千円から5万円は出来るようになると思います。
1出番平均5万円という数字は平凡な私でも達成出来ているので、まじめにコツコツと仕事を積み上げていけば決して出来ない売上げではありません。
ただし、この1出番平均5万円から1出番平均6万円に増やすのが少々大変です。
ここから売上げを伸ばせるかどうかは、個人の努力に加えてメンタルの強さや体力、さらに営業センスが必要になってきます。
残念ながら、私はなかなか出来ないでいます。
だだし入社して6ヶ月位で1出番平均6万円を軽々と超えて、1年後には7万円という営業所トップクラスの売上げを達成する人もいるので、実際に仕事を始めてみないことにはなんともわかりません。
とりあえずの目標は「月平均5万円達成!」がいいかな、と思っています。
まとめ
平成28年における東京のタクシードライバーの平均年収は433万円、平均月収は36万9千円でした。
ただし、タクシードライバーの給料は完全歩合制なので、頑張れば年収を増やすことも可能です。
1出番平均で6万円の仕事をすれば年収500万円、7万円の仕事をすれば年収600万円に到達します。
しかし、年収700万円を超える人はほんの一握りで、それ以上の収入を得ることは不可能です。
タクシーの仕事は決して楽ではないので、そのことを考えると他の産業よりもかなり低い水準に抑えられているように思います。
サラリーマンからタクシードライバーに転職をする場合には、現実的な給与水準を理解することが大切です。