タクシードライバーの仕事をもっと知りたい、いろいろな運転手の話を聞きたいという方のために、タクシードライバーに関する書籍のご紹介をします。
タクシードライバーに関する書籍は、タクシードライバー本人が書いた本、ノンフィクション・ライターの方が取材を行って書いた本、タクシードライバーを主人公にした小説の3種類に分類されます。
残念ながら、本屋さんにはあまり置いていないのですが、全て「Amazon」などの通販で購入できます。電子書籍のKindle版が出ている本もあります。
目次
「タクシー運転手になって人生大逆転」下田大気:著
著者の下田大気さんは、作家でタレントの志茂田景樹さんの二男。
2009年10月に東京無線グループの「杉並交通」に入社して、翌年には年収800万円を達成したカリスマタクシードライバーです。
現在は、同じ東京無線グループの「飛鳥」でタクシードライバーをする傍ら、テレビやラジオに出演したり人材紹介業を行ったりとマルチにご活躍されています。
この本では、ご自分の半生を振り返りながら、タクシードライバーとして成功した歩みを紹介していますが、運転手としてのキャリアが進むにつれその仕事内容が大きく変わっていることがよくわかります。
下田大気さんが成功したのは、他のどんなタクシードライバーよりも「この世界で成功してやるんだ!」という気持ちが強かったからだと思います。
そして、その気持ちが徹底的なリサーチや営業戦略の構築に繋がり、素晴らしい結果を生み出したのでしょう。
もちろん、高校生の頃からバイクで東京中を走り回っていたので、多くの新人運転手が苦労する「道を覚える」必要がなかったことや、新宿や渋谷などの繁華街に詳しかったことも大きな力になったのでしょう。
しかし、日々の努力の積み重ねがなければそれらの知識も活かすことができません。
この本は新書版で読みやすいので、「タクシーほど気楽な商売はない!」よりもこちらの本を最初に読むほうがいいかもしれません。
「タクシーほど気楽な商売はない」下田大気:著
下田大気さんによる最初の本です。
カリスマタクシードライバーとして頭角を現してきたころに書かれた本なので、下田大気さんがバリバリと仕事を行っている様子が詳しく描かれています。
営業のノウハウもたくさん書かれているのですが、最新本と読み比べてみると、歌舞伎町での営業スタンスなどは大きく変わってきているようです。
下田大気さんのような営業は私にはとても真似が出来ないのですが、随所に参考になることが書かれています。
「東京タクシードライバー」山田清機:著
東京で働く13人のタクシードライバーの人生が、ノンフィクション作家山田清機さんによって描かれています。
それぞれの運転手の方のタクシードライバー以前の姿が丁寧に書かれていて、タクシーの世界には様々な経験をした人たちが集まっていることを改めて感じることができます。
また、「長いあとがき」に書かれている著者の人生も、強烈なインパクトで描かれています。
タクシードライバーの方々が少しだけ営業のノウハウを語っているので、その部分も参考になります。
「あの日にドライブ」萩原浩:著
タクシードライバーが主人公の貴重な小説です。
主人公の牧村伸郎は43歳の元銀行員。あるきっかけで銀行を辞めてしまい、公認会計士試験を受けるまでの腰掛のつもりでタクシードライバーを始めたつもりだったが・・・。
タクシードライバーをしながら、「もう一度人生をやり直すことができれば・・・」と思う男が描かれている小説なのですが、ユーモアを交えた軽快な文章で書かれているので、あまり暗い気持ちにはならずに、一気に読み終えてしまいました。
タクシーの仕事に興味がない方でも楽しめる小説です。
「タクシー裏物語」伊勢正義:著
著者は東京の大手タクシー会社に勤務する現役のタクシードライバーです。
タイトルの「裏物語」というのは、業界内部のお話しですよということのようですね。
最初に出た単行本は2008年に書かれています。
著者の営業所では、月に100万円以上売り上げる人は全体の5%もいて、その人達の年収は700万円以上との話しが出ていてびっくり。
当時は、売上げも良かったのですね。
私も知らないようなことが、たくさん書かれています。
「タクシー業界裏事情」大橋厚雄:著
1996年に書かれた本です。
著者はフリーのノンフィクションライターで、この本ではタクシー会社の経営や組合問題にもメスを入れています。
業界内部の闇を垣間見ることができる貴重な書籍なのですが、情報が古いのが残念です。
逆に、バブル崩壊当時のタクシー業界を知るうえでは参考になる一冊です。
当時は、いろいろなことがあったのですね。