タクシードライバーは「隔日勤務」という聞きなれない勤務形態で仕事をしています。
ただし同じ「隔日勤務」でも、ドライバーによって仕事をする時間帯や収入まで違ってくることがあります。
このページでは、そんなタクシードライバー勤務シフトについてご紹介します。
目次
タクシードライバーの勤務形態
隔日勤務とは何か
隔日勤務とは、その名の通り1日おきに仕事をする勤務形態のことを言います。
例えば次のような勤務形態です。
- 月曜日の朝7時から火曜日の朝4時まで仕事でその後自宅で休息・睡眠
- 水曜日の朝7時から木曜日の朝4時まで仕事でその後自宅で休息・睡眠
- 金曜日の朝7時から土曜日の朝4時まで仕事でその後自宅で休息・睡眠
- 日曜日は休日
タクシー業界では、1回の仕事のサイクルを「出番」(でばん)と呼びます。
タクシードライバーは、基本的には1日おきに「3出番」続けて仕事をします。そして日曜日は休日で、翌月曜日からまた「3出番」続けて仕事をします。
つまり、隔日勤務を行っているタクシードライバーは、1回の出番で2日分の仕事をして、その後2日分の休息をとるのです。そしてそれを3回繰り返して、やっと丸1日の休みになります。
これを1ヶ月続けて、翌月始めにどこかに休日を1日はさんで、出勤する曜日が1日ずつずれます。
現在、タクシー業界ではほとんどのタクシードライバーがこの「隔日勤務」を行っています。
その理由は、この隔日勤務がタクシー会社の資産である「タクシー」を、最も効率的に稼動させることが出来る勤務形態だからです。
どういうことかと言うと、まず乗務員に2日分の仕事をさせることで、乗務員の交代や洗車といった「タクシー」が稼働できない時間を最小限に抑えます。
そして、乗務員の交代や洗車を、お客様のご利用が最も少ない朝の4時から7時の時間帯に行うことで、「タクシー」の稼働率の最大化を図っているのです。
つまり、タクシー会社は「タクシー」の稼働率を高めるために「隔日勤務」という勤務形態を採用しているのです。乗務員のためではありません。
隔日勤務の勤務時間の制限
厚生労働省では、隔日勤務のタクシードライバー労働時間について、次のように定めています。
- 1ヶ月の拘束時間は262時間が限度。ただし労使協定があるときには、1年のうち6ヶ月までは270時間まで延長することが出来る。
- 2暦日の拘束時間は21時間以内とする。また、勤務終了後20時間の休息時間が必要である。
- ※拘束時間とは、始業時刻から終業時刻までの時間で、労働時間と休憩時間の合計時間をいいます。
- 詳細についてはこちらをご覧下さい
上記から、1ヶ月に仕事が出来るのは、最大で13出番になります。
※「270÷21=(12出番+18時間)」
13出番のうち、11出番(22日に相当)が所定の出勤で、11出番を超える2出番(4日に相当)は、任意で休日出勤したことになります。(業界では「公出」と呼びます)
隔日勤務以外の勤務形態
タクシー会社によっては、昼間だけ働く「日勤」や、夜だけ働く「夜勤」といった勤務シフトを採用している会社もあるのですが、その数はごく僅かです。
タクシードライバーにとっては「夜勤」が一番稼げるのですが、やはり乗務員の交代等で自動車の稼働率が良くないようです。
タクシードライバーの勤務時間
タクシーは365日年中無休、24時間営業です。
そのため、どのタクシー会社でも、自社のタクシーが1台も営業していない空白の時間ができないように、最低でも2パターンの勤務時間を設定しています。
参考までに、主なタクシー会社が採用している勤務パターンをご紹介します。採用している勤務パターンは会社によって様々で、呼び方や時間帯も違うのでご注意下さい。
- A勤務:7:00~3:00(3時間の休憩を含む)
- B勤務:8:00~4:00(3時間の休憩を含む)
- C勤務:9:00~5:00(3時間の休憩を含む)
- D勤務:10:00~6:00(3時間の休憩を含む)
- E勤務:12:00~8:00(3時間の休憩を含む)
- F勤務:13:00~9:00(3時間の休憩を含む)
- G勤務:14:00~10:00(3時間の休憩を含む)
- H勤務:15:00~11:00(3時間の休憩を含む)
- I勤務:16:00~12:00(3時間の休憩を含む)
私のいる営業所では、B勤務とE勤務の2パターンの時間帯で仕事を行っています。
他の営業所や他の会社でも多いのは、A勤務、B勤務、E勤務、F勤務でしょうか。他の会社のタクシードライバーの方と話しをしていると、I勤務の売上げ金額がいちばん高いそうです。
勤務時間の選び方
もしも、仕事をすることになった会社や営業所で複数の勤務パターンが選べる合には、どの勤務時間が良いか聞かれるかもしれません。
その場合の参考となるように、私の会社の勤務パターンについてお話しします。
「B勤務」の特徴
私は現在B勤務で仕事をしているのですが、私にとってB勤務で仕事をするメリットは次のとおりです
①朝会社に出勤するのでこれまでの生活のリズムに近い。
②勤務前の朝食と勤務後の朝食を自宅で家族と一緒に食べることが出来る。
③勤務日前の夕食を家族と一緒に食べることができる。
④お客様が多い8:00~10:00と料金が2割増しの22:00~5:00の一部の時間で営業が出来る。
B勤務は、料金が2割増しとなる時間をフルに使うことは出来ないのですが、私にとっては家族と一緒に過ごす時間を確保することが大切なので、今のシフト以外で仕事をすることは考えていません。
「E勤務」の特徴
E勤務はお昼から仕事が始まるので、通勤に2時間以上時間がかかる人などは、最初からE勤務で仕事をしているようです。
また、E勤務は朝の出勤時間帯のお客様をお乗せすることは出来ないのですが、料金が2割増しになる22:00~5:00の時間帯をフルに使うことが出来ます。そのため、B勤務の人よりも売上げ金額は高くなります。
私の会社では原則としてB勤務で仕事を行い、売上げ金額が高いドライバーにE勤務で仕事をしないかと声をかけているようです。
その結果、E勤務に変更した人は更に売上げ金額が上がり、会社全体としても売上げ金額が増加するという効果があるようです。
最強の出勤パターン「I勤務」の特徴
私の会社では設定がないのですが、一番稼げるのは朝の出勤時間帯と夜の2割増しの時間帯の両方をフルに活用できる「I勤務」です。
ただし、この時間帯を選ぶと、ほとんど「夜勤」に近い生活パターンとなるので、どの会社でも採用している訳ではないようです。実際に私の会社ではありません。
隔日勤務で思い切り稼ぎたい方は、この「I勤務」がある会社を選ぶといいでしょう。